医療や教育の現場など、あらゆる場面でキーワードとなっている言葉に、「QOL」があります。人生や生活の質と表現され、生きていく上での満足度を表す指標の一つとなっています。WHOが1994年、「QOL」を、「一個人が生活する文化や価値観の中で、目標や期待、基準、関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」と定義しました。WHOが考える「QOL」とは、病気の有無ではなく、一個人の主観的幸福感がどの程度満たされているか、ということになります。医療現場におけるQOLの評価は、病気に対する生存率よりも、患者の主観的評価を重視する姿勢に変わってきています。また、現代の福祉や介護現場でも、QOLを向上させるための取り組みが行われています。その取り組みの一つとして介護施設ではリハビリを積極的に行っているところが多いです。
ある程度の年齢を重ねてきた高齢者は、次第に自分でできていたことができなくなっていく老化現象に直面することとなります。特に、体の自由が利かなくなってしまったことによる歩行困難という事実は、主観的幸福感を大きく損なう出来事の一つと言えます。歩行困難を解決するための手段に、介護現場では電動車椅子を用いることが多いですが、これもQOLを向上させるための方法として用いることができます。「歩くことが難しいものの、本当は遠出してみたい」という願望は、高齢者でなくても、ほとんどの人が持っています。毎日使う電動車椅子が新しくなったり、デザインが変わるだけでも、気持ちを話してくれるきっかけとなり、結果として高齢者介護におけるQOL向上につながります。
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